コーチングって、
人の心の領域の中で話をすることが多いから、
もちろん気をつけなければいけないこともありますね。
コーチングというより、
大前提としてコミュニケーションなので、
気を遣って大切なことが言えないのは本末転倒だけど、
気遣いは大事。
このバランスって僕はとっても大事なんじゃないかと思っています。
大切なことは言うけど気遣いもある。
結局人は誰しも矛盾を心の中に感じていて、
それゆえに心から望んでいることなのにもかかわらず、
うまく行動に移せなかったりもしますよね。
しかも、
その矛盾に自分自身では気づけないこともたくさんありますよね。
だからこそ、
他人との対話というのは、非常に尊いものなのではないでしょうか。
コーチングの業界にいると、
例えばこんなことを言う人がいます。
「トラウマというものは、実は存在しません」
僕はこのメカニズムを知らないし、
学んでみたら、実際にトラウマっていうものは存在しないのかもしれない。
人によっては、
「過去は存在しない」
という言い方をする人もいるし。
だけど、
少なくとも「これがトラウマなんだ」と感じている本人の意思を尊重することが、
対話の上では大切なのではないでしょうか?
世の中にはトラウマなんてものは実際には存在しない、とどんなに思っていても、
その人の中に、その人がトラウマを認めている限り、
その人にとっては「ある」わけです。
ただ、たいていの場合は、
「その人のトラウマの定義」において
「その人がトラウマだと主張していること」
と
「その人が本来トラウマと呼んでいるもの」
がずれていることは往々にしてあります。
逆に言えば、
そのズレたところにトラウマを認めているからこそ、
そのトラウマはトラウマとして存在し続けなければいけないのかもしれないのです。
問題は見つめれば消える、
という言葉がありますが、
まさにその典型例なのかもしれません。
誰かが、
「○○がトラウマなんだ」
と主張していたら、
その主張をきちんと受け止めしっかりと聴きつつ、
その人が本当は何と言っているのかを、
しっかりと聴くことができるのが、
きっとプロのコーチなのでしょう。
そして、
そのしっかりと聞いてもらえた、
という体験を通して、
その人自身も自身のトラウマの正体に気づいたりするのかもしれません。
聞いてもらえる、
ただそれだけで、
人は安心感を感じます。
なぜなら、
人はずっと聞いてきてもらえなかったからです。