あなたは、どんな人ですか?
名前とか出身地とか職業とか
そういうあなたに貼られた「ラベル」じゃなくて、
あなたはどんな人なのか、を聞かれたとき、
あなたは答えることができますか?

わたくし、こういう者です
僕たちコーチは、コーチングの現場で、
クライアントさんの目標設定をサポートし
その目標の達成をサポートしていきます。
それが仕事です。
だけど、
「月収を100万円にします」
という目標を立てて、
「じゃあ目標が立ったところでそこに向かって進んでいきましょう!」
「僕がコーチとしてあなたの目標をサポートします!」
っていっても、
全然それが達成されなかったり、
もしくは達成できても全然嬉しくない状態になったり
そういうことって良くあります。
これは一体なぜなんでしょうか?
今日はそんなお話です。
目標設定に必要なこと
目標を設定するためには
1.目標地点
2.現在地点
の二つを把握する必要があります。
地図で考えるとわかりやすいですが、
これからどこか知らない土地に向かおうというとき、
地図を広げてまず何を確認しますか?
そうですね。
自分がどこに向かおうとしているのか、という目標地点と、
自分が今どこにいるのか、という現在地点です。
この二つがわからないと、
自分がどこに向かって進んでいるのかがわからなくなってしまいます。
そして僕たちはコーチングで
「目標達成」を扱いますから
ついつい「目標地点」にばかり気を取られがちです。
ところがたいていの場合
クライアントさんは「現在地点」を見誤っています。
というより、自分の現在地点を正確に把握することって
そんなに簡単なことではないんです。
あなたはどんな人ですか?
つまり、今現在あなたが何者であるのか、
というこの質問の答えこそが「現在地」なのですが、
この質問、そうそう簡単に答えが出るものではないと思います。
僕にとってもとても難しい質問です。
だけど、これを無視して目標達成のためのコーチングをしようとするのは
地図上で現在地を確認せずに目標地点に行こうとするようなものです。
たどり着けないのです。
まずは自分がどんな人なのか、を自覚することが大切です。
例えば
「月収を100万円にしたい」
と言っている人がいるとします。
その人は本当に
「月収を100万円にしたい」のでしょうか?
違いますね。
「月収を100万円にして、色々と実現したい生活があるから、それを明確にする必要がある」
なんて、
よくある成功哲学なんかでは出てきます。
これも確かに正しいです。
だけど、それってやっぱり「目標地点」の話をしていますよね。
さて、この場合の「現在地点」どこなのでしょうか?
無意識のかさぶた
この人は
「月収を100万円にしたい」
と言っています。
ということはこの人の現在地点は
「月収を100万円にしたい、と言っていたい」
です。
この人にとっては
「月収を100万円にしたい」ということ自体に
なんらかの意味があるのです。
それがこの人の現在地点。
だけど漠然と
「月収100万円くらいになったらいいなー」
なんて思っている人は
自分は「なぜそう言っていたいのか、そう思っていたいのか」
にはほとんど気を配りませんよね。
自分の現在地のことはなかなか見ようとしない、というのはつまりそういうことです。
人間は、どこかで
「ありのままの自分でいてはいけない」
ということを学んできます。
赤ちゃんのときは、
服も着なくても平気だし、
大声で泣いても平気です。
小さな子供の頃も、
わがままも言うし、
聞き入れてもらえないと駄々をこねたり、
もう無理やり泣いてるんじゃないかっていうくらい
「ひっく、ひっく、おえっ」とか言いながら泣いたりします。
それがありのままの僕たちだったんですよね。
ところが、
大人になっていく過程で
「そういうことをしちゃいけない」
「ありのままの自分でいちゃいけない」
「いい子にしてなきゃいけない」
「早くやらなきゃいけない」
と、いろんな形でいろんな「いけない」を学んできます。
そしてその「いけない」に対応するための性格を自分で作っていきます。
その積み重ねが「現在地点」です。
つまり無意識に作ってきた、かさぶたのようなものを、
誰でも心にくっつけている、ということです。
目標達成=理想
誰でも心に
「あーなったらいいな」
「こーなったらいいな」
っていう理想があるはずです。
普段意識していなくても。
そして
コーチと対峙した時に初めて
「こういう目標を達成したいんです」
ということを口にしてみたりします。
ところがその目標は
「あーなったらいいな」
「こーなったらいいな」
という、本当の理想に対して、
「大人としてこうじゃなきゃいけない」という無意識のかさぶたの
フィルターを通して出てきている目標かもしれません。
「目標はこれなんです」
と言いながらも、
そのための行動をしていなかったり、
その目標が達成できない理由ばかりをあげたり、
なんていうこともありますよね。
つまり
「それ本当に達成したいの?」
という話にもなってくるかもしれません。
でも「それ本当に達成したいの?」と聞けば
「はい、達成したいです」と言います。
なぜなら
「達成したいです」と言う自分でいたいからかもしれません。
つまりは、
・どう思われたくてそういうことを言っているのか
・どういう状況を避けたくてそう言うことを言っているのか
を、先に明らかにしない限り
その人の本当の目標というのはなかなか見えてこないのです。
今やっていることがその人
人は、今やっていることがその人です。
「月収100万円になりたい」と言っている人は、
「月収100万円になりたい人」ではなくて
「月収100万円になりたいと言っている人です。
それがわからないと、コーチングは前に進むことはできません。
その人の行動、発言、立ち居振る舞いから、
この人はどういう人でいたいと、無意識に思っているのかを、
まず紐解いていくことが最初です。
そのために、一度仮の目標設定をしてみる、というのもいいのかもしれません。
つまり、最初に目標を設定してもらう目標は、
その人がどういう人なのかを知るための目標です。
そして、それがある程度把握できた上で
その人の現在地を明らかにしながら
もう一度、本当に向かっていきたい目標を一緒に設定していく。
コーチングというのは、そういう方法もあるように思います。
単純に、
「クライアントがこの目標だと言っているからこの目標なんです」
なんて言っているうちは、
きっとプロのコーチではないのだと思います。
こんな風なことばかり書いていると
「コーチってなんだかめんどくさい人」
って思われちゃうかもしれませんが(笑)
でも、そういうめんどくさい役回りをしてでも、
クライアントさんが長期的に
自分の心に違和感なく幸せを味わえる状態を共に実現できるからこそ
本当にプロのコーチなのだと思います。
そのための第一歩が
「その人が何者なのかを知ること」
であり、
「その人が何者であるのかを自分で自覚してもらうこと」
です。
現在地の把握、ですね。
そして、コーチ自身もそれができている必要があります。
さあ、
あなたはどんな人ですか?