【む】むの話

今回は「む」である。

 

むから始まる言葉というのは、

ぬから始まる言葉と同じくらい、

なかなか少ないのではないだろうか。

 

どうしたもんかなぁ、良いお題が浮かばない。

 

ムーミン?

 

でもムーミンについて書こうとすると、

きっとスナフキンについて書いてしまう。

 

こういう時はAIだ。

 

人類史上最も大雑把なプロンプトを入力する。

 

「むで始まる言葉」

 

それが何なのかも指示していないし、

お願いすらしていない。

 

家に帰ってくるなり「めし」とか言う最低な旦那のようだ。

 

僕は、こうして時折AIに人手なしなプロンプトを打ち込み、

人間世界で生きることとの折り合いをつけているのだ。

いや、字数を稼ぐためのまるきしでたらめな話である。

 

「むで始まる言葉」

と指示したのは本当だ。

 

するとこんな答えが返ってくる。

 

以下は「む」で始まる言葉の例です:

無理(むり)

無駄(むだ)

無料(むりょう)

無線(むせん)

虫(むし)

無事(ぶじ)

無視(むし)

無限(むげん)

夢中(むちゅう)

無能(むのう)

他にも具体的なカテゴリーや文脈に応じた言葉が必要であれば、教えてください。

 

AI君、君はなんて良いやつなんだ。

 

なぜか「ぶじ」が入っているけれど、そんなのはご愛嬌だ。

 

こうしてみると「無」から始まることばが多いのがわかる。

 

そして、なんだかちょっとネガティブな言葉が多い。

無理(むり)

無駄(むだ)

無視(むし)

無能(むのう)

なんて言われると、

確かにこんなに有能なAIがいるのに、自分なんて無能だし何をしても無駄尺、

そのうちみんなから「無理ー」とか言われて無視されたりするんじゃないか、

なんてうすら寂しくなってきてしまう。

 

そんな中でも、無限、なんていうのはなかなか良い言葉だ。

限りが無い、ということなんだから、

ずっと広がっていく可能性を感じる。

 

こうして文字にしてみると、

当たり前と言えば当たり前なのだが、

無から始まる言葉というのは、

「それが無い」という意味合いになる。

 

わかりやすいのは、

無線(むせん)

無限(むげん)

無能(むのう)

だろう。

 

線が無い。

限りが無い。

能が無い。

 

能無し、なんていう言い方もある。

 

無理(むり)

無料(むりょう)

無視(むし)

 

この辺も少し補ってあげれば意味がわかってくる。

 

無理というのは、ことわりがないということだ。

無料は料金がないということ。

無視というのは、視ないということだろう。

 

そう考えると無視といのは不思議な言葉だ。

 

というのも、物理的に視ないということだけが無視では無いと思うからだ。

 

無視の定義とはなんだろうか。

 

いないものとして扱う、ということだろうか。

 

だとすると、透明人間扱いをする、とも言い換えられそうだ。

 

となったら、視えない。

だから無視か。なるほど。

 

さあ、扱いが難しいものがある。

それは、

無駄(むだ)

だ。

 

おそらく大した価値がないようなことを「駄」というのではないかと思う。

 

駄菓子といえばお菓子の廉価版だし、

駄文といえば、大したことのない文章になるだろう。

 

他にも、

駄目、駄作、駄洒落、駄賃、駄馬、

なんていうふうな言葉がある。

 

取るに足らないもの、というような意味が、

この「駄」という言葉にはあるように思う。

 

では無駄はどうだろう。

 

「駄」が無いのである。

ということは、

駄文でない文だし、

駄馬でない馬だし、

駄菓子でない菓子、

ということになる。

 

駄が無いのであれば、それは立派なのではないだろうか。

だが、無駄というとそれと逆の意味になってしまう。

 

これは「駄」という言葉をもう一度しっかりと知る必要がある。

 

だがやはり調べても調べても、

「駄」には「価値がない、質が劣る」という意味合いがついて回る。

これが「無い」のだから、、、

ちょっとよくわからないことになってきてしまう。

 

うーん、これはどういうことなのだろうかと色々調べたところ、

面白いことがわかってきた。

 

そもそも「駄」という言葉ではなく、

そもそもの字の由来で調べると、

取るに足らない、という意味ではなく、

「荷物を運ぶための馬」

というのが元々の意味らしいのだ。

 

また、馬に荷を乗せること自体も駄。

そして、重量の単位でも、

「馬一頭が背負える重さ」

のことを一駄と表現する。

 

どうも大元をたどるとこちらが本来の意味のようだ。

駄馬というのも、

(競走馬ではなく)荷物を背負う馬、

ということらしい。

 

そして、

荷物を背負っていないにもかかわらず、

その馬が食べる飯のことを、

駄していない馬の飯ということで、

「無駄飯」

と呼んでいた。

 

この「無駄飯」が時を経て「無駄」になっていった、というのだ。

 

ということは、

駄に価値がないとか取るに足らないといった意味があったのではなく、

無駄飯を食べていた駄馬がいて、

これをやがては無駄と呼ぶようになり、

そこから駄という言葉に、

価値がないもの、取るに足らないもの、

といった意味がついていったようなのだ。

 

これなら納得がいく。

 

言葉というのは由来から紐解くと、

こういったことがわかる時があるから面白い。

 

そんなもの調べてなんになるんだ、と言われることもあるが、

それもまた無駄にはならない、ということだ。

 

ということでまた「む」というよりは「だ」の話になった気がするが、

まあよいとする。

 

 

 

無事(ぶじ)

 

 

 

 

 

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