【い】伊集院さんの話

今回、こんな形でエッセイを書き始めようと思ったきっかけは、実は伊集院さんにある。

なので、今日はその話をしてみようと思う。多分厚木の話ほどは長くならないのでご安心ください。

 

伊集院静。

ものすごく、かっこいいですよね。

いや、どんな見た目の人か知らないのですが、もう、名前がかっこいい。

安部公房くらいかっこいい。

安部公房といえば、砂の女とか、デンドロカカリヤとかが有名で。

 

僕が昔ライブハウスでサックスを吹いていたころ、完全なる我流でジャズセッションに参加していて、その時によくきていためちゃくちゃ上手いドラムのおじさんに「タイチは安部公房っぽいな」と言われたことがきっかけで、その名前を知った。

あべこうぼう。

名前の響きがもうすでにかっこいい。

まあ、小説は読んでみたけど、ちょっと難しかった。

 

僕はこんなふうに、名前の響きで「うわ!かっこいい!」となってしまうことがよくある。

これは多分憧れなのだと思う。

 

中野太智。これが僕の名前の正式な表記だけど、なんというか、漢字が全体的に四角い。

そして「な」からはじまる。なんとなく、なよっとした感じ。

まあ、タイチも今となってはお気に入りの名前なのだけど、子供の頃はなんかもっと、しゅっとした名前に憧れたりもした。

 

だから、あべこうぼう、なんて言われるとエラくかっこいい漢字がしてしまう。音読みだもんね。音読みの名前ってかっこいい。

と、書きながら気づいたけど、太智をタイチと読むのも、立派な音読みだった。

やっぱり、ないものねだりというのか、いやこの場合はあるものをさらにねだっているわけで。

子どもの頃って、そういうのありますよね。

 

いや、それで話を戻すと、伊集院静さん、ですよ。
(静、めっちゃ訓読みじゃん、というつっこみは置いておいて)

なんかもう、かっこいい名前の最上位ランクですよね。

物書きをされている方だということは知っていて。

でも、その名前から勝手に、安部公房以上に難しい文章を書く人なんだろうなと勝手に思い込んでいました。

それでも、一度は読んでみたいな、このかっこいい名前の人が書く文章に触れてみたいな、と思ったんです。

 

そして、amazonを開いて検索したところ、意外とライトなタッチの表紙の本があり、タイトルも不思議感がありつつライトな感じだったので、これならいけるんじゃないか、と。

小説ではなく、エッセイ集でした。

 

早速注文し、自宅に届き、開封。

 

いやはやびっくり。

意外にも、帯には下品な言葉も並んでいて。

ーーー
書店に並んだ姿を見たら、思わず涙を流すと思う。
うんこももらすと思う。
万引きはしないと思う。
ーーー

と。

いやー、静さん。ごめんなさい。完全に食わず嫌いだったと気づきました。

 

そして、そのエッセイ集を読み始めると、ライトな文体でライトな内容。ものすごく読みやすい。

漫画を読むような感覚でスイスイと読める。

なんだ、伊集院静さんって、こんなに読みやすい文章を書く人だったんだね。

 

と、3分の1くらいまでを読んで、

「しっかしこの人、自分の体型の話題が多いなぁ」

と、はたと気づくわけです。

 

そこでですね、もう一度表紙を見たんですよ。

いや、本当に驚きました。

伊集院静さんではなくて、伊集院光さんの「のはなし」という本でした。

全然作り話とかじゃなくて、本当に伊集院静さんの本だと思い込んで読んでいました。

まいったねこりゃ。

 

それでですね、その伊集院光さんの「のはなし」っていうのは、

「あ」のはなし
「い」のはなし
「う」のはなし

っていう感じで、あいうえお順にお話が並んでるんです。

まあ、今回の僕の「あいうえッセイ」は完全にそれをパクらせてもらったわけです。

完走できるかも不明です。

 

嗚呼、伊集院静さん、ごめんなさい。

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