テナジーって言われても、卓球のことを知らなかったらなんのことやらわからないと思う。
テナジーは卓球の用具の商品名だ。
そもそも前にも説明したかもしれないけど、
卓球のラケットというのは、
木べらの部分(ラケット)と
ゴムの部分(ラバー)は別売りされていて、
ラバーは定期的に交換する必要がある。
だから卓球プレーヤーが言う「ラケット」と、
卓球をやってない人の言う「卓球のラケット」は、
意味が違う場合がある。
卓球プレーヤーが「ラケット」と言う場合は、
「ラケット単体」の場合もあるし「ラケット+ラバー」の場合もある。
それは文脈による。
でも卓球をやっていない人が「ラケット」と言えば、
それはほぼ100%「ラケット+ラバー」だろう。
おそらくあのゴムの部分、つまりラバーを定期的に交換しなくてはいけないことを、
知らない人がほとんどなのではないだろうか。
テナジーというのは、そのラバーにある商品名の一つだ。
そのテナジーの中にも色々な種類があるが、ここでは割愛する。
テナジーというラバーは、
僕の中では比較的新しい商品だ。
というのも、
僕が部活で毎日卓球をやっていた中学生時代には、
まだなかった商品だからだ。
いつ頃から販売されたのかはよく知らない。
僕が中学生の頃に多くの人が買っていたラバーは、
スレイバーというラバーで、
よく弾む「皮付き」なども存在した。
これも説明は割愛する。
当時スレイバーは2500円〜2800円くらいで販売されていた。
かなり多くの人がスレイバーを使っていた。
僕が中学3年生の時に、
新商品「エクリプス」が登場した。
このエクリプス、実売価格が3000円強だった。
だからその時は思ったのだ。
「うわー、3000円超えのラバー。高いな。」
と。
買って使ってはみたものの、
確かそんなに気に入らなくて、
すぐにスレイバーに戻したような気がする。
そして高校入学。
僕は部活の推薦で高校に入った。
だけど半年で卓球をやめ、学校もやめた。
それからずっと卓球をしていなかった。
かなりの時がたって、卓球を再開する時に驚いたこと。
それは、
ルールが変わっていたことと、
ラバーがめちゃくちゃ高くなっていたことだ。
ルールでは、
21点先取が11点先取になったり、
ボールの大きさや材質が変わったりしていた。
他にもサーブのルールとか色々な変更があったが、
あまりにも膨大な変更があるので割愛する。
何より驚いたのは、
とにかくラバーが高額になっていたことだ。
その代表格が、テナジー。
スレイバーが3000円弱。
エクリプスが3000円強。
それが僕のラバーに対するイメージだ。
だがテナジー。
まず定価がない。
オープン価格。
そして実売価格、なんと、
7000円強。
これでも割引価格だというのだ。
物価が上がって、多少その影響を受ける、ということはあるだろうが、
それでもメインストリームのラバーの値段が2倍以上になっていたのには驚いた。
しかもテナジーはセミなのだ。
セミというのは、蝉だ。
どういうことか。
寿命が短いのである。
他のラバーと比べて、
性能の劣化が早い。
だから、交換の頻度が上がる。
値段が2倍以上になって、
交換の頻度も上がる。
気がついたら卓球は、
めちゃくちゃお金がかかるスポーツになっていた。
そしてそんなテナジーに、さらに後継商品が現れる。
それが、
ディグニクス。
こちらは実売価格、
8500円弱。
さらに高くなったのだが、
一つ素晴らしい点がある。
それは、
セミじゃなくなったこと。
寿命がめちゃくちゃ長くなったのだ。
なので、性能の差は置いておいたしても、
7000円のテナジーより、
8500円のディグニクスの方が、
お得感すらある。
僕が中学生の時は、
今のように用具の選択肢はそんなにたくさんなかった。
だけど今は、
ラバーの種類だけでも当時の10倍近くあるんじゃないかと思う。
テナジーが牽引したこともあり、
全体的にラバーの価格設定も上がっていった。
卓球部は、中学校の人気の部活ナンバーワンらしい。
世の中の、卓球を知らない親御さんは、
「え、ラケットとラバーは別売りなの!?」
「え、ラバーって定期的に換えないといけないの?」
「ええ!?ラバーってこんなに高いの!!??」
と、
悲鳴をあげたのではないだろうか。
ちなみに僕はこれを書いている今日現在、
テナジーもディグニクスも使っていない。
フォアはハイブリッドK3、バックはグレイザーだ。
知らない人にとっては、
で?
って話だと思うのだが、
卓球って用具で本当に変わる競技なのだ。
自分のプレーとの相性が良い用具と出会えるまでの、
自己投資の量も30年前とは大きく変わったことだろう。
ロマンだなぁ。