【け】毛の話

ロン毛だった時期がある。

しかも、金髪気味の茶髪。

それを後ろで結んでいた。

 

当時はヴィジュアル系バンドのボーカルをしていたので、

そんな髪型だったんです。

 

ロン毛の頃、女性と間違えられて、二度ほどナンパされました。

 

一度目は、本厚木の駅前に座り込んでうなだれていたら、声をかけられました。

「え?」と顔をあげると、

「なんだよ、男かよ」と。

 

二度目は、車を運転している時。

信号待ちで隣にきた車の人が何かを話しかけてくる。

なんだろうと思って

「え?」と窓を開けると、

「なんだよ、男かよ」と。

 

男でごめん。

 

当時は、眉毛もめちゃくちゃいじってました。

いじってたというか、細くしすぎて、ほぼ原型がなかった。

だから、いつも自分で眉毛を描いてました。

 

ヴィジュアル系バンドを組み始めた頃は、

どうやって口紅をすればいいのかわからなくて、

母に聞きました。

 

母は、

「まさか息子に口紅をする日が来るとは思わなかった」

みたいなことを言っていました。

 

そりゃそうですよね。

 

「ねえねえお母さん」

「なぁに?」

「お母さん、口紅ってどうやってするの?」

「えー?口紅?」

「うん。口紅してみたい」

「そっかー、じゃあお母さんがやってあげよっか?」

「いーのー!?やったー!」

 

これじゃ完全に、小学生くらいの女の子とお母さんの会話です。

 

ロン毛にする前は、いつもスポーツ刈りでした。

スポーツ刈りが、世界で一番かっこいい髪型だと思ってました。

 

その時は近所の床屋さんに行ってて。

夫婦でやってる床屋さんだったんですけどね。

おじさんがこわくて。

おばさんは優しい。

 

だけど、

おじさんは上手で、

おばさんはあんまり上手じゃない。

 

だから、

おじさんは怖いから嫌だけど、

おばさんは下手だから嫌だな、

なんて思ってましたね。

 

お店変えればいいっていう話なのですが、

当時の僕にはそういう発想はなかったですね。

 

小学校に入ってから、中学を出るまではずっとその床屋さんだった気がします。

 

ちなみにおばさんは何が下手なのかというと、

もみあげの処理が下手なんです。

 

具体的には、

右のもみあげは前下がりなのに、

左のもみあげは前上がりみたいな、

そういうちぐはぐな手仕事をする方だったんですね。

 

おじさんはなにが怖かったのかというと、

なんかもう、見た目から何から怖い。

ちょっと首がカクンとなろうものなら、

「動くなって言ってんだろ」

くらいのことを平気で言ってくる人でしたね。

 

懐かしいなぁ。今でもあの床屋さんあるのかな。

ここまで書いちゃってるので、流石に店名は出せませんが。

 

しかし、なんでスポーツ刈りにしたんだっけな。

きっかけが思い出せない。

 

確か床屋さんのメニュー表に、

アイパー 2000円
学生カット 1500円
スポーツ刈り 1200円

みたいな感じで書いてあったんじゃないかな。

そんな気がしてきた。

さすがに、アイパーってわけにいかないですからね。

当時はアイパーがなんだか分かってなかったけど。

 

それで母が、

「スポーツ刈りで」って言ったのが最初だったような気がしてきました。

 

小学生からスポーツ刈りにして、

中学で卓球部に入ってからもスポーツ刈りで、

高校に行って、半年間卓球をやっていた間もスポーツ刈り。

 

部活を辞めてから細かなプライドで髪の伸ばし始め、

不安ばかりなのに気持ちはときめいていた毎日を送り、

高校を辞めてしばらくした頃には立派なロン毛になっていました。

自分でブリーチするの、大変だったなー。

 

そして、hydeが急に髪をバッサリと切り落とした頃、

僕もロン毛に飽きたのでバッサリと切りました。

確か黒夢のfeminismのジャケットを美容院に持っていって、

「この清春さんみたいにしてほしい」

とか言った記憶があります。

 

一度、千葉のおばあちゃんの家にいきなり遊びに行った時、

「すごい先生がいるから、一緒に美容院に行こう」と言われて行ったことがあります。

 

おばあちゃん世代の人は、美容院の店長さんなんかもお医者さんみたいに「先生」と呼んだりしますね。

おばあちゃんが言うには、

「この先生が日本にパーマを持ってきた先生」

だそうで。

 

たぶん違うと思うんだけど。

 

話の流れで短髪の僕はパーマをかけることになりました。

結果、あまりパーマはかからずに、前髪に不自然な分け目が強制的に発現しただけにとどまりました。

どうも、毛が太いみたいです。

 

本当にお金がなかった頃は、よく自分で髪を切ってました。

切り終わった自分を鏡を見て、まあまあうまいもんだ、なんて思っていたのですが、

後ろから見た友人に「襟足がアシメになってる」と言われ、

当時まだガラケーしかなかった携帯でいわゆる写メを撮ってもらうと、

アシメというか、襟足の左半分よりも、右半分の方が2センチくらい短いという、

新時代の階段ヘアーになっていました。

 

最近ではもうずっと美容師さんにお任せで切ってもらってて、

「とにかく前髪が目に入らないようにしてください」

しか言わなくなりました。

 

白髪も目立つようになってきたなー。

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