数年前、沖縄でたまたま出会った塩。
名護の部瀬名岬にあるブセナテラスに宿泊していたときのこと。
そのホテルは、朝市をやっていて、マンゴーとかドラゴンフルーツとか沖縄もずくとか、いかにも沖縄らしいものが売られている。
その時は、愛を込めておばあと呼ばれるようなおばあちゃんがブースを開いていて、僕たち夫婦はなんとなくそれを眺めて楽しんでいた。
するとそのおばあが、すごい勢いで勧めてきたもの。
それが、塩。
屋我地島の塩という塩。
「これはね、何にかけてもおいしくなっちゃうの!」
「白いご飯にぱらぱらっとかけるだけでごちそうになっちゃうよ!」
「おばあは家の塩をこれに換えただけで高血圧がなおったさ!」
そりゃあもう、薬事法も無視したすごいトークだった。
でも、見るからにそのおばあが元気なことと、
「今日はね、もうこれしか持ってきてないから、買うなら今のうちさ」
という後押しで、塩としてはいささか高級だったけど、購入してみることにした。
確か最初に使ったのは、
友達が勤めているゆし豆腐屋さんにいって、できたてのゆし豆腐にパラパラ。
うまい!めちゃくちゃうまい!
食材の甘味と旨みがぎゅーっと引き立つ。
が、それは元々ゆし豆腐が美味かったから、という可能性もあるから、
その時点ではまだ、その塩の凄さを信じてはいなかった。
東京に帰ってきて、とりあえず色々その塩を使って試してみた。
おばあに言われた通り、白米にもかけてみた。
こ、これは、、、
うますぎる!!!!!
明らかに他の塩とは違う旨み。
実はそれまでにもいろんな塩を試したことはあったのだけど、
正直ダントツ。レベチ。うますぎ。
それからはその塩を使って色々試す日々が続いた。
焼いただけのお肉につけても美味しいし、
卵かけご飯に醤油の代わりに使っても美味いし、
とにかく、ちょっと一味足らないな、と思った時にパラパラすると、
しょっぱくならずに旨みが爆発する。
こ、これは、、、
おばあ、残り少ない屋我地島の塩を売ってくれてありがとう。
それからというもの、この屋我地島の塩の大ファンになった僕たち夫婦。
まず、次の沖縄旅行の時に屋我地島に行った。
屋我地島は沖縄の離島。
とはいっても、本島から屋我地大橋という橋を渡って車で行くことができる。
沖縄が好きな人なら、ハートロックで有名なまん丸の古宇利島を知っている人は多いと思う。
古宇利島に行くには、本島から屋我地大橋を渡って屋我地島に行き、
屋我地島から古宇利大橋を渡って行く必要がある。
なので、古宇利島に観光に行く時に、
実は知らずしらずのうちに通過している人が多い島だ。
屋我地ビーチという綺麗なビーチもある。
そこに、屋我地島の塩を作っている工場がある。
初めて訪問した時は、飼いヤギがいた。
(2回目に行った時はいなかった。食べちゃったのかもしれない)
屋我地島の塩は、原材料が海水100%。
だからパッケージの裏を見ても、海水としか書いていない。
そして、400年前の製法をそのまま受け継いで作っているそう。
これがミネラルや旨みをしっかりと感じさせる塩を作る秘訣らしいです。
実際に作ってるところを見せてもらって、とても感動しました。
それからというもの、
沖縄に旅行に行くと、
必ずお土産に屋我地島の塩を買うようになった。
もらってくれた人は、本当にめちゃくちゃ喜ぶ。
「騙されたと思って、使ってみて。本当になんでも美味しくなるから」
そう言って渡すのだが、次に会った時には必ず、
「なんなのあの塩!!!!」
という反応をもらうことができる。
いや。だって本当に美味しいから。
この間、沖縄旅行に行った時には、
どこの塩屋さんに行っても屋我地島の塩が売ってなくて、入荷も未定。
屋我地島の塩の公式サイトを見に行っても売り切れ。
空港の塩屋さんにもない。
これは、どういうことだ、、、
と思いながら那覇空港の中をうろうろしていると、奥さんが急に一軒の小さなお店に駆け込む。
そして、
「あったあった!」
と、3袋だけあったのを買ってきてくれた。
お店の外からは見えてなかったはずなのだけど、
「あそこにありそう!」と嗅覚が働いたらしく。
そんな嗅覚すら働いてしまうくらい、美味しくて体が喜ぶ塩なんです。
屋我地島の塩、機会があったらぜひ使ってみてください。
ただ、気をつけてください。
本当に他の塩が使えなくなります。
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追伸
初めて屋我地島の塩と出会った時、朝市でおばあが「もう今日はこれしか持ってきてないから、買うなら今のうちさ」と言ってたので、僕たち夫婦は残り少なかったその塩を購入した。
それからホテルのプールに行って、その帰りにまた朝市の前を通ると、おばあの前には山盛りの屋我地島の塩。
おばあは目を合わせてくれなかった。
ありがとう。おばあ。