【あ】赤ワインの話

あーあ。

 

まったく。

 

やんなきゃいいのに。

 

あいうエッセイ、二周目を書き始めてしまった。

 

読み手からしたら楽々書いてるように見えるかもしれないけど、

これはなかなか修行のようなもので。

 

書かなくて済むなら頭も労力も使わないから楽っちゃ楽なのです。

 

「文章を書くモチベーションはどこから湧いてくるんですか?」

っていう質問ももらったのだけど、

モチベーションなんて考えたことがない。

 

決めちゃったんだから、やるしかない。

それに、書けば書いたで誰かしらが読んでくれる。

それがたった一人だったとしても。

 

今はSNSがある意味猛威を振るってるから気付きずらい部分ではあるのだけど、

素人が書いた文章を誰かが読んでくれるって、

実はすごいことなのであって。

 

僕が生まれた昭和の頃になんて、

自宅でカリカリ書いた文章を見知らぬ誰かが読んでくれるなんていうことは、

考えられなかったはずだ。

少なくとも書くだけでは。

 

それが今は、

こうしてブログだのエッセイだのとして、

インターネット上に書くだけで、

もしかしたらたった一人かもしれないけど、

誰かしらが読んでくれていたりする。

 

これはもう感謝しかない。

そう、今これを読んでくださっているあなたに感謝。

 

まあ、そういうふうに考えて、それがモチベーションになってるのかもしれない。

 

でも、

きっと僕は本当に誰も読まなかったとしても、

まあまあ書くだろうと思う。

 

というのも、

あとで読み返してみると結構面白かったりするのだ。

 

文章としては決して優れたものではないかもしれないけど、

でも、

「そういやこんなこと書いたな」

とか

「これもっと他に書きようがあるだろうに」

とか、そんな感想を持ちながら自分の文章を読むっていうのは、

なかなかに面白い。

 

このエッセイは、ある意味で僕の思考のライフログなのだ。

 

ライフログ、となってしまうと、

なんで五十音縛りなんだって話になってしまうのだけど。

 

(ちなみに今ライフログって書いて、次の「ら」のテーアはラフロイグに決まった)

 

人間って、収集癖というか、コンプリートしたい、みたいな欲求があったりする。

五十音順テーマ縛りというのは、そういう欲求をうまくついたのかもしれない。

 

つまりこれは伊集院光さんにしてやられたのだ。

 

伊集院光さんが「のはなし」という本で、

五十音順エッセイをやってて、

なんとなくそれを真似しちゃったもんだから、

僕はどうも「あいうエッセイ沼」から抜け出せなくなりそうだ。

 

あれ、本題に入る前に1000文字近くになってしまった。

 

次の「あ」は「赤ワイン」の話にしようと思ってた。

 

というのも、

僕はマニアックな知識を持ち合わせているわけではないのだけど、

赤ワインがそこそこ好きだからだ。

 

うちの父は赤ワインが好きじゃないらしい。

それは「冷やさない酒の何がうまいのかわからない」

という理屈らしく。

 

僕もなんとなくその思考を受け継いで、

最初は泡とか白ワインとかを好んで飲んでいた。

 

この頃というのは、

それがうまいからというわけではなくて、

不味くないから、という理由だったように思う。

 

とにかく安いワインしか飲んでいなかったから。

 

本当に安いワインになってくると、

常温で赤を飲むよりも、ガンガンに冷やした白の方が飲みやすい。

 

そんな僕が、

いつからか赤ワインと白ワインの好き度合いが変わったのは、

「世の中には酸っぱくない赤ワインが存在する」

ということを知ったからだと思う。

 

それまで僕が飲んでいたのは、

しゃばしゃばとした酸っぱい赤ワインだった。

ボトルには「果実味」なんて書いてあるのだが、

僕はそもそも果物の酸味がそんなに得意じゃないので、

それを美味しいと感じられなかった。

 

だけど、

何かの機会でもう少し高級なワイン、

多分ボトルで2000円くらいするものを飲んだ時に、

「あれ、これ美味しいじゃん」

と気づく。

 

重みがあり、チョコレートのような、カカオのような甘みと香り。

 

ほお、こんな赤ワインがあるのか。

 

それから僕は、

重たい赤ワインを求めるようになった。

 

生産国のことはそんなに詳しくないのだけど、

カベルネ・ソーヴィニヨンのワインから始まって、

テンプラニーリョとか、

モンテプルチアーノとか、

ネロ・ダヴォラとか、

よくわからないけど、そういう品種の赤ワインであれば、

酸っぱいものが少なくて、甘みがあって美味しい、ということを覚えた。

 

もっと重いものはないのか、

もっと重いものはないのか、

と求めていくと、

なんだかんだやっぱりカベルネ・ソーヴィニヨンが重い、ということがわかってきた。

 

なんというか、

重くて旨いのはカベルネ、という感じになってきたのだ。

 

その頃好んで飲んでいたのは、

ロバートモンダヴィのプライベートなんとかというワインで、

それのカベルネはやけにうまかった。

 

これは確かカリフォルニアのワインで、

なかなかなお値段で有名なオーパスワンと、

なんらかの関係があったものだと記憶している。

 

ものすごく適当な記憶なのだが、

調べるのも面倒だからこのまま書いてしまおう。

 

普通に買うと3000円弱で手に入るのだが、

一時期なぜかコストコで2000円を切る価格設定がされていて、

そのころは月1回はコストコに行って、

そのワインを買い込んだりしていた。

 

通年いつ飲んでも美味しいのだけど、

冬なんかは特にこういう重みのある赤ワインがとても美味しいと感じる。

 

それが、である。

 

ある春、暖かくなってきて、

「ああ、もう少し優しい赤ワインが飲みたいな」

なんて思うようになってくるのである。

 

これもどういう経緯だったかは忘れたが、

誰かにそれを相談したところ、

「それならピノノワールを飲んだらいいんじゃない?」

と言われ。

 

なるほどと納得し、

ある春の日にピノノワールの赤ワインを飲んでみたら、

まず軽い、そして滑らか。

さらにイチゴのような香りと甘み、

そして優しい酸味。

 

あれほど嫌っていた「果実味」を、

美味しいと感じるようになったのだ。

 

きっと、

重たいワインばかり飲んで、

ワイン脳が疲れていたのだと思う。

 

それからは、

ブルゴーニュのピノノワールだの、

そうじゃないところのピノノワールだの、

あまり値が張らないものを探しては、

買って飲むようになった。

 

今も、

できたらピノノワールは常備しておきたい、

と思っている。

 

年間の好みの推移としては、

春、ピノノワール

夏、シャンパンをはじめとするスパークリングワイン

秋、ピノノワール

冬、カベルネ・ソーヴィニヨン

というような感じになるのだが、

これもあくまでメインで飲むのがそれになることが多いですよというくらいで、

あまりそうこだわって飲んでいるわけではない。

 

その時に、美味いと思えるものを飲むことができたら、

これは幸せなことだと思う。

 

まあ、本当のことを言うと、

だいたい毎晩ビールから始まって、

そのままビールで終わることだってよくあるのだから。

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